サイト模写って何?意味と効果を解説
Web制作の世界でよく耳にする「サイト模写」。
これは、実際に公開されているWebサイトやデザインカンプをお手本にして、HTMLやCSSを使って構造やデザインを再現する練習方法です。
ただの“見て真似る”作業と思われがちですが、実はとても奥深くて、初心者のステップアップにはぴったりな手法なんです。
模写って、ただのコピーじゃない?
「模写コーディング」と聞くと、「完成されたサイトをそのまま写すだけで、意味あるの?」という声もあります。
でも、それはちょっと違います。模写は、デザインの構造やコードの組み方、タグの役割、そしてレイアウトの工夫を“自分の手”で再現しながら学習する、まさに実践のトレーニングです。
Webサイトは見た目の美しさだけでなく、どんなHTMLやCSSで組まれているかという「裏側」が大事です。
模写を通して、普段は気づかないその裏側の構造が見えてくると、理解が一気に深まります。
なぜ練習に向いているのか?
模写が練習として優れている理由は、HTMLとCSSの基礎が丸ごと体感できるところにあります。
初心者が教科書を読むだけでは身につかない“感覚的な理解”が、手を動かすことで自然と身についていきます。
特にレスポンシブ対応のサイトを模写すれば、スマホとPCでどうレイアウトを変えているかなど、実務でも必要なポイントを習得できます。
学習初期にありがちな、「知識はあるけど、実際には動かせない」という悩みも、模写を重ねることで解消されていきます。
「なんとなくできる」から「ちゃんと使える」へ
模写がもたらす最大の効果は、「自分にもWebサイトが作れる」という実感が得られることです。
HTMLタグの意味や、CSSで要素の見た目を調整する方法が、頭の中だけじゃなく“体に染み込む”感覚に変わっていきます。
例えば、marginとpaddingの違いって、テキストだけで読んでもなかなかピンと来ないのではないでしょうか。
でも模写していくと、「あ、ここで余白ができるのか」と、自分の感覚で理解できるようになります。これこそが模写の強みです。
初心者にも安心の理由
独学の初心者にとって、何から手をつけていいかわからないのが一番の壁。
その点、模写は“ゴールが見えている”という意味でも安心感があります。
既存のサイトを参考にするから、「どう作るか」よりも「どう組み立てるか」に集中できる。焦らず勉強を進められる点で、初心者の学習にはとても効果的です。
さらに、模写コーディングを繰り返すことで、ポートフォリオにも応用することができます。
「実際にこれを自分の手で再現しました」という事例があれば、転職や副業にもつなげやすくなります。
模写を始める前に準備しておきたいこと
サイト模写は“やって覚える”学習法ですが、最初の準備を怠ると、練習の効果が半減してしまいます。
必要なツールや題材の選び方を間違えると、「何となく始めたけど、全然進まない…」という壁にぶつかることも…
そうならないためにも、初心者でもスムーズに模写を始められるように、具体的な準備法をまとめました。
必須ツールをそろえよう
まずは、模写を始めるために最低限そろえておきたいツールを確認しておきましょう。
・PC(できればWindows10以降またはMac)
・エディタ(VSCodeが人気)
・ブラウザ(Google Chrome推奨)
Visual Studio Code(VSCode)は無料で使えて拡張機能も豊富です。
HTMLやCSSの補完機能、コード整形など、初心者でも使いやすいのが特徴です。
Chromeにデベロッパーツール(検証機能)が付いているのも、模写学習にはありがたいポイントです。
Visual Studio Codeの公式サイト:https://code.visualstudio.com/
練習用におすすめの模写サイト集
無料で練習できる模写用サイトを選ぶなら、まずは「デザインギャラリー系サイト」をチェックするのがおすすめです。
模写向けに使えるサイト例:
・LPアーカイブ:https://lp-archive.com
・MUUUUU.ORG:https://muuuuu.org/
・SANKOU!:https://sankoudesign.com/
どれも日本国内の実際のサイトやLP(ランディングページ)を紹介しており、デザインがシンプルなものも多いです。
HTML/CSSの構造を理解しながら模写するには、こういったLP系サイトが最適です。
模写するサイトはどう選ぶ?
練習に向いているサイトには共通点があります。
・情報が整理されていて見やすい
・1カラム~2カラムのレイアウト
・画像が少なめで、CSSだけで再現可能な部分が多い
つまり、構造がシンプルで再現しやすいサイトが、初心者向きです。
いきなりアニメーションやJavaScriptを多用したサイトを選んでしまうと、難易度が跳ね上がります。

自分にできないところばかりで、やる気がなくなってしまうと、もったいないです。
「Apple」より「LP系サイト」がおすすめな理由
初心者のうちは、模写の難易度に敏感になるものです。
例えば「Appleの公式サイト」のように動きが多く、デザインが複雑なものは、見た目に憧れて選びがちですが、構造が複雑で挫折の元になります。
その点、サービス紹介用のLP(ランディングページ)は、構造も明快で、レイアウトやHTMLタグの使い方をじっくり練習できます。
CSSも複雑になりにくいため、コードの習得やスキルアップのステップとして最適です。
模写に慣れてきたら少しずつ難易度の高いページにもチャレンジできますが、最初のうちは“成功体験”を積むことが何より大切です。
模写練習で差がつく!進め方と応用術
模写は、やり方次第でただの「写す作業」にもなりますし、スキルアップに直結する実践学習にもなります。
効率よく実力を伸ばすために、模写の進め方と、実践力につなげる応用方法を覚えておきましょう。
始める前にやっておくべき3つの準備
模写を始める前に、以下の3つを意識するだけで、練習の精度がぐんと上がります。
1. 情報収集
模写するサイトの内容や目的、どんなターゲット向けなのかを把握しておくと、要素の意味が理解しやすくなります。
例えば、商品紹介LPなら、見出しやCTAボタンの位置にも意図があるはずです。
2. 構造の把握
サイト全体を「パーツ」に分けて見てみましょう。
ヘッダー、メイン、フッター…それぞれの役割を意識して、HTMLタグの使い方やCSSクラスの設計をイメージすることが大事です。
3. 設計
いきなりコードを書き始める前に、「どの順番で組み立てるか」をざっくり設計しておきましょう。
特に初心者は、全体→パーツ→詳細という階層構造を意識すると、レイアウトが崩れにくくなります。

「写すだけ」で進めて、途中で迷子になった経験があります。 目的を理解することって大切ですね。
コーディングは順番が命!
模写の基本は、HTML→CSSの順番で進めること。
HTMLで構造(要素)をしっかり組んだ上で、CSSで見た目(デザイン)を整える流れが重要です。
いきなり色や装飾から入ると、要素の意味がぼやけてしまい、コード全体が崩れやすくなります。
まずはHTMLでsectionやdiv、header、mainなどを使って構造を正しく組み立てることに集中しましょう。
その後、CSSでレイアウトや配色、フォントサイズなどを調整していきます。
この流れを繰り返すことで、HTMLタグやCSSプロパティの使い方が自然と身についていきます。
模写中に気をつけたいこと
模写は「ただ似せるだけ」ではもったいないです。
再現度を高めるために、以下の点を意識してみてください。
・レスポンシブ対応を観察する
ウィンドウサイズを変えて、どうレイアウトが変化するかを見るクセをつけましょう。
・CSSの細部を見逃さない
行間(line-height)、余白(margin・padding)、フォントの種類、ボタンのホバー動作など、目に見えづらい部分ほど再現する価値があります。
・コードは整える
インデントやコメントも忘れずに。第三者が見て分かるコードを書く意識が、将来的に案件対応でも役立ちます。

“hover”のちょっとした動きは、見逃しちゃうときもありますよね。 でもサイトの印象は大きく変わります…!
模写を応用してオリジナル作品へ
模写に慣れてきたら、そこから一歩踏み出して、オリジナル作品へと展開していきましょう。
やり方はシンプルで、「コピーではなく、自分の設計に置き換えていく」だけです。
例えば…
・余白(paddingやmargin)を変えてみる
・色のトーンや配色をオリジナルにする
・フォントサイズや間隔の設定を変えて、読みやすさを意識する
・コンテンツ内容だけを差し替えて、自分のプロフィールサイトにする
こうした変更を加えることで、構造の理解だけでなく、デザインの思考力や設計力も養われます。
模写はあくまで学習の手段です。
ぜひ、その先にある“自分のWebサイト”を目指して、模写から一歩踏み出してみてください。
まとめと感想:模写で「できた」が自信になる
最初はただの“写す作業”に見えた模写コーディング。
でも、実際に手を動かしてみると、見えてくる世界が一気に広がります。
最初のうちは、HTMLやCSSの書き方もあやふやで、「こんなコードで合ってるのかな?」と不安になったり、ちょっとしたレイアウトのズレに悩んだりするものです。
けれど、1つ、また1つとパーツを再現していくうちに、「お、意外とできてるかも」という感覚が芽生えてきます。
この「できた」という小さな成功体験が、次のモチベーションにつながります。
何より、「自分の手で、目の前のデザインを再現できた」という実感は、どんな教科書よりも自信を与えてくれます。
模写の良いところは、失敗しても何度でもやり直せることです。
そして、やり直すたびに少しずつ理解が深まり、HTMLやCSSの構造、コードの意味が身体に馴染んでいきます。
コードが書けるようになると、Web制作の学習が一気に楽しくなります。
「もっとキレイに組めないかな」「レスポンシブ対応もしてみよう」と、自然に探究心がわいてくるはずです。
最終的には、模写を通して得た知識やスキルを、自分のポートフォリオ作品に落とし込むことで、“勉強”から“実践”へとステップアップできます。
そうなれば、転職や副業といった次の目標にも手が届くようになります。
最初の一歩を、模写で踏み出す。
その選択は、きっと間違いではありません。